武蔵野美術大学 油絵学科油画専攻/多摩美術大学 絵画学科油画専攻 編入学試験 の合格者作品。トイレットペーパーを素材として制作した、湿気で紙が変化していく様子も表現として含めていたインスタレーションです。
Parasitus Record
パラシトゥス レコルド - 寄生体記 -
トイレットペーパー、マスキングテープ、セロハンテープ、ガムテープ、椅子、板
縦240cm×横293cm×奥行き365cm
トイレットペーパーの山だ。トイレットペーパーに近づくと真ん中には茶色い芯があり薄く細長い紙が何重にも巻かれている。何だか、木を輪切りにしているように見える。それを見たうえで離れてみるとそこにはトイレットペーパーの木があった。新品じゃない誰かが少し使った残りのトイレットペーパーははだけて重なり部屋中から養分吸い上げ、まるで根のようにはびこっている。力強い 生命力を感じた。
トイレットペーパーは仲間を増やし縦に伸びていく。一つの大きな生命体となった。一つのトイレ ットペーパーだけでは成し得ない大きな力を手に入れたのだ。
いくつもあるトイレットペーパーが均一の薄さで重なり合って、その枚数によって肉眼的に奥行き が生まれ、色々な白が生まれる。トイレットペーパーが交わることで生まれる影が良いアクセント になる。また、複雑な形になることで根の神秘的な魅力を手に入れた。本物の木として復活しよう とする力強さを見た。
だが今は6月だ。雨が毎日のように降り続けている。部屋中は湿度が上がり気温も高い。人間 がずっとここにいれば熱中症になってしまうんじゃないかと思えるほどひどい。勿論、トイレットペ ーパーもそれに耐えられるわけがない。しかも、トイレットペーパーは全てが紙だ。湿気を吸い、 次々にしわくちゃになりぼろぼろになった。寿命が来たのである。トイレットペーパーの木は朽ち果 てた。元の力強くて美しい姿には絶対戻ることができない。
この作品は、人の人生のように偶然の重なりを尊重して制作した。自然にできたものの美しさ、 力強さ、そして自然に朽ちていく儚さ。病院実習でたくさんの人の生き方を見たからこそ人間の真 の強さに気づき、その生命の自然な時間の流れを表現した作品である。
自分の部屋で制作した理由は、まだ自分がこの先どのように生きて、どのように死んでいくのか はわからないけれど、とりあえず、今の私はトイレットペーパーの生命の流れでいう、根を張り力 強く生きている瞬間であり、自分の人生を重ねながら制作したからである。そういう面ではこの作 品は他人の人生と自分の人生を重ねた二面性のある作品に仕上がったともいえる。
トイレットペーパー、マスキングテープ、セロハンテープ、ガムテープ、椅子、板
縦240cm×横293cm×奥行き365cm
トイレットペーパーの山だ。トイレットペーパーに近づくと真ん中には茶色い芯があり薄く細長い紙が何重にも巻かれている。何だか、木を輪切りにしているように見える。それを見たうえで離れてみるとそこにはトイレットペーパーの木があった。新品じゃない誰かが少し使った残りのトイレットペーパーははだけて重なり部屋中から養分吸い上げ、まるで根のようにはびこっている。力強い 生命力を感じた。
トイレットペーパーは仲間を増やし縦に伸びていく。一つの大きな生命体となった。一つのトイレ ットペーパーだけでは成し得ない大きな力を手に入れたのだ。
いくつもあるトイレットペーパーが均一の薄さで重なり合って、その枚数によって肉眼的に奥行き が生まれ、色々な白が生まれる。トイレットペーパーが交わることで生まれる影が良いアクセント になる。また、複雑な形になることで根の神秘的な魅力を手に入れた。本物の木として復活しよう とする力強さを見た。
だが今は6月だ。雨が毎日のように降り続けている。部屋中は湿度が上がり気温も高い。人間 がずっとここにいれば熱中症になってしまうんじゃないかと思えるほどひどい。勿論、トイレットペ ーパーもそれに耐えられるわけがない。しかも、トイレットペーパーは全てが紙だ。湿気を吸い、 次々にしわくちゃになりぼろぼろになった。寿命が来たのである。トイレットペーパーの木は朽ち果 てた。元の力強くて美しい姿には絶対戻ることができない。
この作品は、人の人生のように偶然の重なりを尊重して制作した。自然にできたものの美しさ、 力強さ、そして自然に朽ちていく儚さ。病院実習でたくさんの人の生き方を見たからこそ人間の真 の強さに気づき、その生命の自然な時間の流れを表現した作品である。
自分の部屋で制作した理由は、まだ自分がこの先どのように生きて、どのように死んでいくのか はわからないけれど、とりあえず、今の私はトイレットペーパーの生命の流れでいう、根を張り力 強く生きている瞬間であり、自分の人生を重ねながら制作したからである。そういう面ではこの作 品は他人の人生と自分の人生を重ねた二面性のある作品に仕上がったともいえる。
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