当塾より武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科の編入試験で合格した受験生が制作した作品です。
材料・素材
・ペットボトル ・プラスチック容器 ・イルミネーションライト ・油性ペン
・アクリル絵の具 ・タオル ・レジャーシート ・網 ・ゴミ袋 ・マスキングテープ
・ガムテープ ・アルミホイル ・ホチキス ・針金 ・画鋲 ・ペンライト
・カッター ・ハサミ ・ライター ・ろうそく
制作者のコメント
“アイドルはトイレに行かない”時代は終わった。
山口百恵とか松田聖子の活躍していた70年代あたりに、アイドルがあまりにも雲の上の存在すぎて言われていたことだ。しかし、近年では、元AKB48の指原莉乃がトイレに行くことを表に出してから、親近感を売りにしているアイドルが増えてきた。
テレビや舞台で歌ったり踊ったりするアイドルは、私に夢を与えてくれる。アイドルのかく汗はダイヤモンドのように輝き、アイドルの流す涙は水晶玉のように透き通っている。それらが見れるだけで感動し、あわよくば採取したいと思うほど、ファンにとっては綺麗で貴重なものだ。アイドルは、決して汚くない、汚いモノを出さないようなイメージを持つ存在である。
そんなアイドルも人間であるから、トイレには必ず行く。そんなことは分かっている。しかし、あんなにキラキラしたアイドルが排泄している姿を誰が想像できるのだろうか。私は出来ない。そこで、ある言葉を思い出した。
「お花を摘みに行ってくる」
この言葉は、トイレに行く恥じらいをオブラートに包んだ隠語である。これならしっくりくる。汚いモノを出さないアイドルに、ぴったりの表現だ。もしかしたら、トイレという場所は、アイドルにとって、お花を摘む綺麗な場所であるのかもしれない。もしかしたら、本当にお花を摘みに行くだけなのかもしれない。そんな想像がこの一言で、私たちの脳を埋め尽くす。
そのトイレには、無数のカラフルな花が咲いていて、妖精たちが持っている魔法のステッキの光で真っ暗な個室を照らしてくれている。トイレ特有のくさい臭いは、フローラルの柔らかい香りに変わり、鼻を通って肺を浄化してゆく。便器からは、本来の用途として長く使われていないためか、厚い葉っぱのタコのような足が踊り出てきている。それらを取り囲んでいるツルや葉っぱは、時間が経てばもっともっと重たく、深みを増していきそうだ。
アイドルのトイレはこれだ。これがもし、ファンのただの妄想や願望であっても、週刊誌にアイドルがトイレで排泄中の写真をすっぱ抜かれないかぎり、私はアイドルはトイレでお花を摘んでいると信じることにする。
これが、”アイドルはお花を摘みに行く”時代の始まりなのである。
この作品を制作した当塾在籍生は、他に下記の作品も制作しています。