デザイナーになってバリバリ活躍する。アーティストになって歴史に名を残す。そんな大きな夢のような将来を考えて美大受験を目指す受験生が多いかと思います。
大きなものというものは、必ず小さなものの積み重ねでできています。日本一高い山である富士山は、小さな土塊や砂の集まったものです。スカイツリーも、鉄骨や鋲などの小さなパーツを工事によって組み合わせて建造されたものです。
普段我々がイメージしている「富士山」や「スカイツリー」には、土塊や鉄骨や鋲などは省略されてしまっています。しかし、それらを作ろうとするときには、「小さなものの積み重ね」は、決して無視することができないのです。
美大受験生にとっては、将来の夢は、大きな岩のようなものです。1個1個の岩は一見、大きく見えますが、岩と岩の間には大きな隙間がたくさんあり、本当はスカスカの状態です。そして、ちょっとした刺激で崩れてしまいかねないのです。
しかし、そんなスカスカな状態でも、がっちりと崩れないようにすることができます。小さなものを、活用していけば良いのです。例えば、大きな岩を積み重ねて、そこに砂を流し込む。
そうすれば、しっかりと堅固な「土台」が出来上がります。日本のお城、「姫路城」「熊本城」などで皆さんが目にしている、あの状態になるのです。みなさんの大きな夢を強固なものにするのは、砂のような小さなものなのです。
美大受験生にとっては、例えば、毎回の課題をしっかりやってくること、先生に言われたことを覚えておいて次の課題に生かしていくこと、それが「小さなものの積み重ね」となってきます。
小さなものというのは、とても平凡に見えたり、つまらなく見えたりします。しかし、当たり前のこととして繰り返されるからこそ、平凡になります。
例えば、「空気」。人間が生きるのに必要不可欠なものです。本当に重要なものが、当たり前のようにそこにある。だから、その価値を見失ってしまっているのです。でも、空気がなくなってしまったら......どうなると思いますか?
美大受験で成功するのは、小さなことをしっかりと積み上げることのできた受験生です。課題をしっかりやってくる。授業は必ず出席する。先生に一度言われたことは忘れない......小さいものだからこそ、ひとつひとつはやり易いはずですよ。