
どこの大学でもよい、のワナ
昔の今の大学受験で大きく違うポイントに、「浪人しなければどこの大学でもよいという考え方が増えた」があります。この考え方には大きなワナが潜んでいる可能性があることをぜひ忘れないでいただきたいと思います。
昔は当たり前だった終身雇用制
確かに「終身雇用制」が一般的だった20年前までは、浪人にリスクがあったのは事実。終身雇用は新入社員から定年までずっと勤めるので現役で大学へ入学すると22歳〜65歳までの「33年分」の生涯年収が発生することになります。
しかし浪人するとその年数分だけ生涯年収が少なくなります。終身雇用制は勤続年数が長いほど給料が高くなるので、もらえない分の給料は一番給料が高くなった時の浪人年数分。下手をすると数千万円単位で差がついたのです。
現代では機能していない終身雇用制
ところが、今は時代が大きく変わりました。例えば、内閣府経済社会総合研究所は「経済環境の変化と日本的雇用慣行」において終身雇用制はすでに崩れつつあると発表し、経団連トップも「終身雇用は難しい」と発言しています。
現代は、入社した会社がこの先数十年の安定を保証される時代ではありません。そんな時代で必要となるのは企業や組織に依存する生き方ではなく、個人が高い実力を養い質の高い人脈を築いてどんな状況にも対応できる生き方です。
「高い実力」「質の高い人脈」の獲得が重要
「高い実力」「質の高い人脈」を持っていればそもそもリストラされにくいですし、転職せざるをえない状況になっても、転職を有利に進めることができます。この2つは将来への安定の支えとなるのです。
実力も人脈も、レベルの高い大学へ行ってこそ質の高さが培われます。社会人途中でのリストラや転職の可能性が高い現代では、より高いレベルの大学を求め受験対策することは、将来への「投資」として高い価値を持っています。
レベルの高い大学を目指しましょう
だからまず、高いレベルの美大を目指してください。それは何より受験生の将来に大きな価値をもたらします。少子化が原因で競争率が下がり、現在の美大・芸大は昔よりもかなり合格しやすくなっています。今がチャンスなのです。
社会状況や経済的事情など様々な事情があることは承知の上ですが、将来性を見越した考え方をした上でレベルの高い大学を目指すことの価値について、自分自身でご判断いただければと思います。