講評サンプル(多摩美 小論文)

データのやりとりで小論文の講評・添削を行う授業です。小論文をご自宅で書き、出来上がった作品をメール等のテキストデータのやりとりでデータ送信していただきます。当方ではそれに返信する形で作品の講評を実施します。
【課題】「嘘」というテーマで文章を書きなさい(600字)
(以下、受講生より送られてきた作品メール)

「嘘」という字は口に虚しいと書くが、言葉通り嘘をついたあとはどこか空虚な気持になる。

それは他人に対する嘘はもちろん自分につく嘘に関しても同じことが言えるだろう。自分につく嘘というのはたとえば絶対に出来そうもないことをできると自己暗示にかけるようなもので、無論自分に自分で嘘をつくのだあら答えはわかっているのだ。

ではなぜそのようなことをするのか。私の中の答えは簡単だ。一つは憂うつになる気持ちを隠すため、二つめはその不安を押し上げてでも気分を高めるためで、要は精神を制御したいのだ。嘘の中での架空の自分を作り出すことは必ずし良いとは言い切れないが、そうして自我を保てるのならばときには必要に思う。

嘘とは良い悪いではない。自分で嘘をつくかつかないかの選択をするだけだ。本当に正しいと感じて生きている人はいない。ただ私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いているという実感があるだけなのだ。

(以上、受講生より送られてきた作品メール)
(以下、講評内容)
○○○○さま
先日ご送信いただいた小論文の講評を返信いたします。
(以下、小論文講評)
○全体的な印象
書いてある内容が抽象的で、「他の誰でもが書けそうな内容」になってしまっています。美大で小論文が出題されるのは、「文章で個性的でセンスがある人間を見分けるため」ですから、このような書き方をしていては、他の受験生との差がつきません。
○話を大きくしすぎない
多くの受験生が話を大きくしてしまいます。自分が書く内容を大層なものに見せたい心理が働くからでしょうか?全人類のことを書いたり、まるで識者や哲学者のような書き方をしたりします。例えば、今回の文章の場合は、以下の部分がそれに当たります。
>>自分で嘘をつくかつかないかの選択をするだけだ。本当に正しいと感じて生きている人はいない。ただ私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いているという実感があるだけなのだ。
この言葉、大きなことを言っているようでいて、結局はなんとなく話をごまかしているようには感じませんか?全てに当てはまることを語っても、それはいわゆる「一般論(=面白みのない話題)」になってしまいます。例えば、次のように言い換えてみたらどうでしょう。
「自分で芸術をするかしないかの選択をするだけだ。本当に正しいと感じて生きている人はいない。ただ私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いているという実感があるだけなのだ。」
「自分で教えるか教えないかの選択をするだけだ。本当に正しいと感じて生きている人はいない。ただ私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いているという実感があるだけなのだ。」
「自分で法律を守るか守らないかの選択をするだけだ。本当に正しいと感じて生きている人はいない。ただ私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いているという実感があるだけなのだ。」
etc...
つまり、今回出した結論は、別に「嘘」というテーマで語らなくても、多くの分野に当てはめて語ることができてしまうのです。これでは、自分の個性や感性の鋭さは、相手に伝わりません。
○具体的であることを目指す
ただし、同じ結論でも、なぜ「私という存在がここにあって私のものさしで世界が動いている」のかの具体例が示され、しっかり文章中で検証されれば、読み手の印象はもっと異なります。例えば以下のように言い換えれば、意味に深みが増します。
■■■「教える」■■■
教師は、万人に対して同じ情報(データ)を生徒に対して提供するだけの存在ではない。そのような役割は、既にコンピューターとインターネットが果たしている。だからこそ、教師が知識やデータを与えるだけでは、日々情報を増やし続け検索すれば「忘れる」ことなくデータを提供し続けるインターネットに負けてしまう。
しかし、教師は人間であり、コンピューターが決して持ち合わせない、「自分自身の意志」を持っている。知識というデータを取捨選択し、自分で教えるか教えないかの選択ができる。情報に対して自分の世界観で解釈を行い、より重みを増した「意見」として、生徒に提示することができる。
それが本当に正しいと感じて生きている人はいないのかもしれないが、私という存在がここにあって、私のものさしで世界が動いているという実感をもって教えていれば、生徒の人間性に影響を与えることができる。それが、生徒の将来の生き方に方向性を示すことにもなるのである。
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...どうでしょうか?最後の結論部分は、同じような書き方をしているようでいて、全く印象は異なります。
美大の小論に関しては、「全てに当てはまること(=一般論)」ではなく、「特定のものだけに当てはまるけれど、分析すると面白いもの(=特殊論)」を語った方が、説得力と魅力が出るのです。
一般論はたいていの人が知っている内容ですし、たいていの人が知っているからこそ「一般」論(=つまらないもの)として扱われます。それでは、自分の個性と魅力を、文章でアピールすることはできません。
特殊論なら(つまり、語る内容を狭めれば)、字数を満たすためにひとつひとつの要素や素材(モチーフ)に関して深く語ることができます。つまり、話を大きくせず、実体験や具体例を明示して話を進めることが、短時間で話に深みを持たせる一つの手段です。
先の「教育」の例では、インターネットを持ち出すことにより話に具体性をもたせ、「データ+意志・解釈=意見」という構造を明示することで、読み手に分かりやすく話の内容を解釈させるきっかけを与えているのです。 (以上が、今回の小論文の講評となります)
小論文は何回も書き直す(リメイクする)ことで、実力がついていくものだといえます。今回の講評の内容を参考にして、同一のテーマで書き直しをすることをお勧めいたします。
(以上が、今回の小論文の講評となります)
さて、講評の内容はいかがでしたでしょうか?ご満足いただけましたでしょうか。今回の小論文添削は、上記の内容で終了させていただきます。
(次回の課題に関する詳細の記載。中略)
それでは、失礼いたします。私のメールが、○○さんの実力向上に少しでもお役に立てるようでしたら、幸いです。
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