志願者数の比率と、合格者数の比率には差がある
正確な入試傾向を把握するために7年間の累計データを1枚の円グラフにしました(視覚伝達デザイン学科は推薦入試の実施がないので、グラフに表示されていません)。推薦入試の合格者を多く出しているのがどの学科かが一目瞭然でわかります。
志願者が多い「油絵」「空間演出デザイン」「映像」の3学科は、いうまでもありませんが、「工芸工業デザイン」「建築」「芸術文化」の3学科の合格者比率が高いことは特筆すべきです。
工芸工業デザイン学科について
昨今の美大受験生は、グラフィックデザイン志望へと偏っている傾向にあります。そんな中で、工芸分野や工業デザインに興味を持つ数少ない受験生は積極的に合格させようという大学側の思惑が見て取れます。
提出するポートフォリオが美大予備校で制作したデッサンや色彩構成を入れるだけになってしまわないようにすることが大切です(デッサンや色彩構成を評価するのは一般入試です)。工芸・工業分野の「制作」「企画」がどれだけできるかが勝負どころです。
建築学科について
昨今の受験生の傾向をみると、英語・国語・数学の成績が良いだけで美術センスのない受験生が一般入試で建築学科に合格してしまっている現状があります。しかし、そのような受験生は、大学入学後に授業についていくのに非常に苦労しているのが現状です。
その意味では、受験生一人一人の志望動機や建築に対するセンスを見抜くことのできる推薦入試は、将来性のある建築志望の受験生を合格させるのに最適な入試形式です。建築に対する学習意欲と将来性をどれだけアピールできるかが勝負です。
芸術文化学科について
芸術文化学科も建築学科と同様、しっかりとした受験対策をせずに英語・国語の成績が良いというだけで一般入試で合格してしまっている例も多く、そのような受験生は大学入学後、そして就職の時に非常に苦労することになります。
その意味で、コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力と一人一人の受験生の質を見抜ける推薦入試は大学側にとっては重要な機会となっています。事前の受験対策でコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力を高めておくことをお勧めします。