ズバリ、筑波大学です。
筑波大学の小論文の入試問題は、非常に実践的です。場合によっては、プロのデザイナーが日々実践していることと、同じようなことを入学試験で求めてくるのです。
例えば、ある製品の問題点をリストアップし、その改善点を文章や絵を使用して提案するような問題がよく出題されていますが、これは、まさにプロのデザイナーが自分自身の仕事を請け負う時に、やらなければいけない作業なのです。
また、例えば「エコロジー」などの基本的な用語について文章を書かせる問題が出題されていますが、これに関しては、ただ単に辞書やWikipediaで調べればわかるような内容を書いたのでは、他の受験生と差をつけることができません。
基本的に、美術系大学では、「他の人が書けないような自分独自の視点で文章が書ける受験生」が高く評価されます。このことから、一般的に使われている用語の意味を正確に書くことに加え、それに関する自分独自の見解や意見を合わせて書かなければ、合格に有利な点数を得点することにはならないのです。
多くの美大予備校では、東京芸術大学や武蔵野美術大学・多摩美術大学のための受験対策を中心に行い、筑波大学芸術学群の受験対策を疎かにする傾向があります。
これは、非常に残念な「美大受験業界」の傾向です。指導を担当する講師が東京芸術大学・武蔵野美術大学・多摩美術大学の出身であり、筑波大学の芸術学群に対する理解が薄いことが、この大きな理由ともなっているからです。
筑波大学は、いわゆる「美術大学」ではなく、「総合大学」です。つまりこれは、大学生活を送る中で、様々な分野の人達との交流を持ち、その人達との人間関係を築いていける、ということを意味します。
それに対して、東京芸術大学・武蔵野美術大学・多摩美術大学のようなタイプのいわゆる「芸術大学・美術大学」へ進学すると、周囲にいるのは、基本的に美術系の人間だけになってしまうのです。
実社会に出た時に、仕事をするのに有利になるのは、明らかに「様々な分野の人々と交流がある人」です。
ですから、筑波大学のようなタイプの大学に入学することは、実社会に出てから有利になるポイントを大学生活をしながら得ることができる、ということを意味するのです。
このことを考えると、筑波大学のデザインを受験する時に、まるでプロのデザイナーがやるような内容を出題する意味も、見えてくるような気がします。
繰り返しますが、筑波大学のデザイン系小論文は、非常に高度な内容です。できるだけ早めに対策することを、強くお勧めいたします。