また、入試日に必ず小論文を書かせるような入試形式をとる大学も多いといえます。
このような入試形式で志望動機や小論文課題の提出を求めるのは、ただ単に文章力をみることが目的なのではありません。
文章を書くことは、「表現すること」の基本。
受験生が視覚表現の感覚(美術的感覚)を持ち合わせ、それを日本人なら誰でもが表現手段として使用している「日本語」で適切に伝達できるかどうかを判断するという目的があるからこそ、文章を書かせようとしているのです。
このような文章を書く場合には、ただ単に美術に関する話題を取り扱ったからといって、伝わるものではありません。
美大入試というものが次の世代に新しい視点でものづくりをすることのできる人材を発掘するためのひとつの手段であることを考えると、やはりテーマに対する発想力、観察力、分析力などが優れていることが高得点に結びつきます。
「どこかの誰かが言っていたような話」では、そこに受験生自身の個性は出てこない、ということなのです。
しっかり文章が書ければ、他の受験生と大きく差がつく!
「受験生自身の体験や経験」の中で、どれだけ「創作と鑑賞の関係について」について独自の観察や分析ができているのか、が、美大の小論文ではなによりも「受験生から聞き出したいポイント」になっているのです。
美術の世界では、「他人の受け売り」や「一般論(=誰でもが言えてしまうようなこと)」をそのまま使用することは、非常に印象の悪い行為です。
仮に受験生自身が志望動機や入試の小論文で「他人の受け売り」や「他人と同じ意見」を書いたという自覚がなく、本当に自分の考えを書いたのだとしても、それが「他人の受け売りや一般論」に見えてしまう、というだけで、大きくマイナスになってしまうのです。
「表現」というのは、そういうものなのです。自分が何を考えたか、以上に、「他人にそれがどう見えたか」が、評価を左右します。
だからこそ、美大受験生は「美大入試で書くべき文章」の性質をきちんと把握し、「自分の独自性をアピールできる文章」を書く練習をしておいた方が良いのです。小論文対策は、特別入試受験には必須。そう考えておいた方が良いでしょう。