どの美術大学でも、おおむね映像系の学科を開設し、受験生を募集しています。
しかし、各大学で映像系学科に関する呼称が異なり、どの学科をどのように受験したらよいのかがよくわからない受験生の方もいらっしゃると思います。
以下では、各大学の映像系学科の紹介と、受験に関する簡単な説明を行っていきます。
武蔵野美術大学 造形学部 映像学科
いわゆる映像、というと、ここを第一志望にする受験生は多いといえます。
武蔵野美術大学の映像学科は、特定の分野に限ってしまうことなく、幅広く「映像」を学ぶ学科です。よって、映画・写真・アニメーション・メディアなど、幅広い分野の映像表現を学ぶことができる、といえます。
映像には関わってみたいけど、現時点ではまだ分野を限ることができない受験生にとっては、最適な学科だといえるのではないでしょうか。
日本大学 芸術学部 映画学科
「映画学科」という表記の通り、写真(静止画)は含まず、映画(動画)の分野を学ぶための学科だといえます。
この学科の特徴的なところは「映像表現・理論コース」「監督コース」「撮影・録音コース」「演技コース」と、さらに4つのコースに分かれ、映画に関する内容をかなり専門的に学ぶことができる、というところです(2012年4月現在)。
「映像表現・理論コース」は、映像の分野を幅広く総合的に学ぶコースだといえるでしょう。他のコースはかなり分野を絞って専門的な内容となってきますが、前述の武蔵野美術大学の映像学科のように、幅広い映像(動画)を学ぼうと考えると受験生にとっては、目指すべき学科であるといえるでしょう。
「監督コース」は、将来映画監督を目指すことを強く望んでいる受験生にとっては、最適なコースだと言えるでしょう。ただし、高度に専門化されたコースですから、既に映画サークルなどで映像作品を作ってきた経験があるなど、実践的な映像制作経験と映画監督への強いモチベーションがある受験生でないと、合格はなかなか難しいかもしれません。
「撮影・録音コース」は、表記の通り、映画制作を技術面からサポートすることを望んでいる受験生のためのコースです。「監督コース」と同様、やはり映画サークルなどでの映像制作経験と映像を技術面でサポートすることに対する強いモチベーションがないと、合格はなかなか難しいでしょう。
「演技コース」は、表記の通り、演技やパフォーマンス面で映像に関わっていきたい受験生のためのコースです。「監督コース」「撮影・録音コース」同様、映画サークルなどでの映像制作経験と映像を技術面でサポートすることに対する強いモチベーションがないと、合格はなかなか難しいでしょう。また、試験内容も、いわゆる美大受験の対策内容とは大きく異なっているので、受験対策はなかなかしづらいコースだといえるでしょう。
日本大学 芸術学部 写真学科
「写真学科」の名の通り、写真(静止画)に限定した内容を学ぶ学科だといえます。
映像(動画)に関する分野の学習はほとんど行いませんので、写真、特にアナログ写真(フィルムカメラによる撮影)に対して強いこだわりがある受験生は、この学科を目指す価値があるでしょう。
映画学科も写真学科も、日大芸術学部の映像系学科は、基本的に「保守的な」学科です。インターネットなどを使用したり、パソコンの可能性を追求しようとするメディア系の学科ではありませんので、デジタルメディアを通じての自己表現を目指す受験生は、方向性が異なっているといえるでしょう。