
武蔵野美術大学と多摩美術大学。美大受験生の多くが、この2つの大学を併願して受験します。
確かに、2つの大学では学べる内容が似ている学科が多いといえます。例えば、武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を受験する受験生の多くは、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科も併願で受験します。同様に、ほとんどの学科で、武蔵野美術大学と多摩美術大学で相応する学科が存在しているのです。
そう考えると、武蔵野美術大学の芸術文化学科、多摩美術大学の芸術学科も、相応している学科のように思えます。
しかし、この2つの学科、結構異なるところが目立つ学科だといえます。わかりやすく言うと、
- 「実技・コミュニケーション重視、幅広くやりたい受験生は武蔵野美術大学 芸術文化学科へ」
- 「理論・研究重視、深く掘り下げたい受験生は多摩美術大学 芸術学科へ」
です。
A. 武蔵野美術大学 芸術文化学科
入試の内容は、芸術作品などの図版と文章を解釈させ、それについて論じさせる、というものです。
1年次に実技系授業を実施し、他科との交流ができるなど、「まずは幅広く色々なことを体験し、その中から自分自身の好きなものを見つけ出してほしい」という姿勢が見られるのです。
その意味では、かなり寛容な学科であり、自由に自分のやりたいことのやりやすい学科である、といえるでしょう。しかしその反面、自分自身がしっかりしていないと、自分のやりたいことが見つからずに、時間だけがだらだらと過ぎ去ってしまうかもしれません。
武蔵野美術大学 芸術文化科に向いているのは、経験的に、以下のような受験生になります。
「色々なものに興味を持ち、その中から自分の興味のあることを積極的に見つけ出して、それを追求するための努力を惜しまない人」
B. 多摩美術大学 芸術学科
この学科は、学科長をやっている方が美術畑というよりは学問畑の方だったりします。このことから、武蔵野美術大学 芸術文化学科に比べると、かなり理論・研究色が強いという特徴があります。
授業も実技系というよりは講義系の授業が目立ちますので、「実技系(絵画・彫刻など)の授業を体験してみたい」という受験生には、あまり向かないかもしれません。
しかしその反面、理論・研究に関する授業はかなり充実していますので、「思考力」「分析力」を鍛えるということに関しては、かなり期待できるといえます。
このことから、多摩美術大学 芸術学科に向いているのは、経験的に、以下のような受験生になります。
「与えられた課題を意欲的にこなし、自分が学習したことを踏まえて、そこからより掘り下げていく努力のできる人」