当塾より武蔵野美術大学 基礎デザイン学科の推薦入試で合格した受験生が制作したプレゼンテーション資料(一部)です。圧倒的な画力と斬新なアイデアで、他の受験生と大きく差をつけて志望校合格を達成しました。
制作者のコメント
農業を主体とする江戸時代の価値観は、高度なデザイン性を備えている。
現代の価値観は、実は江戸時代に近づきつつある。仕事・習い事・塾・格差。時間とお金に余裕がなく切り詰めた考え方で「日常の効率的なデザイン」をはじめている。メルカリやジモティー、カーシェアリングやレンタサイクル、ミニマリストやノームコア、ものを持つことではなく、モノへの執着をなくし充実した時間を過ごすことを重視する、共有(シェア)の時代が来ているのだ。充実した時間を第三者と共有する。それができる江戸時代の農業のデザイン性こそ、磨き直すべきものなのだ。
自宅と会社の行き来の時間を省くため、会社の近くで暮らす「職住一致」。働くための街と住むための街の境目がなくなってきている。24時間営業をやめ、早朝や深夜の営業時間短縮を進める店舗が増えてきている。長時間労働を改め、自由で多様性のある社会を目指しているのだ。
寝に帰るだけのベッドタウンも、農業によって生まれ変わる。共同体として日常生活のデザインに関わるため、地元住民全員で農業に関わり、ものを作り、他人に分け与えることを学ぶ。それは、他人が作ったものへの尊重の気持ちをもたらすはずである。自然と関わりながら生産することへの充実感。日常から一歩離れ自然と共存することで、心身にかかるストレスも軽減される。自分の手で作ることで、ものの成り立ちを理解することもできる。
一つ一つの畑は社会基盤の基本単位(モジュール)となりうる。それぞれのモジュールに周辺住民が積極的に関わり、様々なモノを生み出す。そうすることで複雑な社会を構成し理想的なリサイクルを生み出すことができる。例えばビニールハウスはレジャーシートや傘の素材ともなりうる。普段であれば捨ててしまうはずの野菜の芯や皮は肥料となる。使えなくなったモノ・資源を形を変えることで、長く使えるデザインに変えることができるのだ。