少子化時代が美大受験を変えた
近年、美大受験にも「少子化」が与える影響は大きくなってきています。今回は、少子化が美大受験に与える影響と、美大受験生が「気をつけなければならないこと」を説明していきます。
上のグラフは、美大受験を単純化して図示したものです。例えば、定員100名の学科に1000名の受験生が受験したとしましょう(倍率10倍)。大学側が入学させたい受験生、つまり「実技力の高い受験生」を上位10%として考えた場合、1000名の10%なので、ちょうど定員の数である100名が「実技力の高い受験生」だといえます。これが、「少子化前」の美大受験のありかたです。
この状態が維持されるのが理想ですが、今は少子化の時代です。つまり、定員100名の学科に1000名の受験生が志願をするのではなく、いわば、定員100名の学科に500名が志願をするような時代なのです(倍率5倍)。
受験生の数には年々変動はありますが、実技力の高い受験生の「割合」は、それほど大きく変動する物ではありませんので、やはり上位10%が高い実技力の受験生と仮定すると、受験生500名のうち50名が「実技力の高い受験生」。残りが、「実技力の低い受験生」となってしまいます。
よって、このような状態だと、入学定員のうち半分は、本来であれば合格することができないような「実技力の低い受験生」となってしまうのです。これが、美大受験の現状なのです。これは、現状の美大受験が抱える大きな問題点となっています。
実技力が低いままで受験すると、必ず後悔する!
ただし、これを「実技力が低いから、簡単に合格できるだろう」と解釈してはいけません。なぜなら、この問題を大学側も認識しており、「しっかり受験対策をしてきたかどうか=実技力のアップを継続的に行ってきたか=美大予備校にしっかり通い対策を受けてきたか」を実技試験で見抜くことで、少しでもこの実技力低下の傾向に歯止めをかけようとしているからです。
たとえ実技力が低い受験生がいたとしても、美大予備校などでしっかりと実技対策をしてきた経験があれば、大学入学後に実技力をアップさせるきっかけをつかめる可能性があります。しかし、ろくに対策をしないで合格をしてしまった場合、受験生本人が大学入学後に苦しむことになるのです。
近年、せっかく美大に入学できたのに、中退してしまう学生が多いという話をよく聞きます。そんな事態にならないよう、美大を受験する受験生はしっかりと美大予備校に通うことを強くお勧めいたします。美大予備校でしっかりと対策を受ける期間は、受験生にとっては、美大で大学生活をうまく送っていくための有力な準備期間となるはずです。