一般大学との併願について
以前は美大受験のみをする受験生が多かったのですが、近年では、一般大学と美術大学の併願を狙う受験生も、どんどん増えてきています。
今回は、「一般大学と併願がしやすいのは、どんなところか」というテーマで、まとめてみます。
A. デザイン系学科(情報)
美大受験の中でも一番人気があるデザイン系学科の中では、併願がしやすいのは、「情報系学科」です。
情報系の学科は、数学での受験が可能だったり、小論文での受験が可能だったりします。
数学に関しては、一般大学の受験のために専門的に数学を勉強している受験生にとっては、それほど難しくないといえるでしょう。ウェブデザインに代表されるような、コンピューターを使用したデザインに興味のある受験生は、受験してみる価値があるとおもいます。
なお、情報系学科で出題される小論文に関しては、一般大学で出題されるような小論文とは、求められる能力がかなり異なってきます。できれば、一般大学用の小論文の対策では逆効果になってしまう場合もありますので、美大受験専門の対策をすることをお勧めします。
B. 映像系学科
近年、「美術」の世界の入り口として、一番馴染みのあるのは、映像の分野です。映画・テレビのみならず、インターネットや屋外の広告でさえもどんどん「動く」ようになってきており、映像の分野は、これから先も、大きく発展していく可能性を秘めています。
幸いなことに、映像系学科は、一般大学との併願がしやすい受験のシステムをとっていることが多いと言えます。
映像系学科では、「小論文」や「数学」で受験をすることが可能です。
特に、センター試験枠での組み合わせだと、一般入試のように感覚テスト(絵と文章の組み合わせで表現を行う)を受験する必要がなく、「小論文のみ」「数学のみ」で実技試験を済ませることが可能な場合があります。
デザインの情報系学科同様、数学は一般入試用の対策をしていれば、それほど難しいものではありません。
しかし、小論文に関しては、「映像系学科特有の文章力」が求められてきますので、美大受験専門の対策をすることが必要となってくるといえるでしょう。
C. 芸術学系学科
美術の作品を自分自身で作るというよりも、作られた作品を分析したり、管理したりする仕事も、美術の世界では非常に重要なことです。
芸術学系学科は、そのような、学問として美術を研究し、一般社会に対して美術の世界をアピールして行きたい人達には、おすすめの学科です。
芸術学系の学科は一般大学の中にもありますが、美術大学に進学すれば、大学内に常に作品制作と作品発表を行う人達がいます。
ですから、美大の芸術学系学科に進学すれば、自然と美術に囲まれることとなり、一般大学の芸術学系学科(美学)へ進学するよりも、現代的な美術センスを磨くことができるといえるでしょう。
芸術学系学科の多くは、「小論文」での受験を主流としています。
ただ、美術の知識を求められるのではなく、 美術のセンスや作品鑑賞のセンスを求めてくるような課題が多いといえますので、やはり、一般大学の小論文の対策のみでは、実力を伸ばすことが、なかなか難しいといえるでしょう。
以上のように、一般大学との併願をしやすい学科は、概ね「小論文」もしくは「数学」で受験できる学科、ということになります。
美術に興味がある受験生は、是非、検討してみてもらいたいと思っています。昔よりも間口が広がっていますので、受験する価値は、十分ありますよ。