
近年の美大入試の特徴
近年の美大入試の主な特徴は、以下のようなものだといえます。
- 試験形式が多様化した
- 一般大学との併願がふえた
以下に、(1)〜(2)を詳細に説明していきます。
1. 試験形式が多様化した
例年1月末(センター試験終了後)〜3月までに実施される入試を一般入試と呼んでいます。
しかし、現在では、「推薦入試」「AO入試」を導入する美術大学がほとんどです。導入当初は募集人数も少なく、合格者数のほんの数%を占めるだけでしたが、現在では、かなりの割合(1/4〜1/3程度)を推薦入試やAO入試において募集する大学も出てきています。
受験生にしてみれば、受験する機会が増えた、という大きなプラス面がある、といえます。その反面、受験する機会の多さを「受かり易い」と誤解し、実力のないままに受験をして、受験料の払い損をしてしまう受験生が跡を絶たない、という残念な傾向も出てきてしまっています。
2. 一般大学との併願がふえた
一般大学との併願が増えてきた理由は、「センター試験枠入試」の導入です。
受験する大学・学科によっては、センター試験枠入試での試験の配点のバランスが、一般入試と異なっている場合が多く、しかも、実技試験の科目が少なかったり、実技試験の配点が少なめだったりする場合があるのです。
これは、受験生にとっては、受験できる大学の選択肢が増えた、という意味で、大きなメリットを生み出すことになりました。
しかしその一方で、受験直前まで一般大学入試用の対策を行い、受験直前のみ実技試験の対策を行う、というやり方で試験に臨もうとする受験生が増える、という現象が出てきました。
このような受験生の多くは、「実技試験の対策がほとんどできず、合格に足る実力がつけられない」「なんとか合格はできたものの、大学の授業についていけず、中退や休学をしてしまう」、という結果に結びついてしまう可能性が高い、といえます。
つまり、センター試験枠の導入は、受験生にとって大きなプラス面も持ち合わせる一方、大きなマイナスの面も持ち合わせており、結果的に受験生が大きく「振り回される」ことにもなってしまっています。
大学入試というのは、その後の人生を左右する、非常に大きな「きっかけ」です。受験生の側としては、マイナス面に振り回されることのないよう、しっかりと事前に対策を行っておくことをお勧めします。